飲食からIT役員への逆算キャリア戦略|20社全落ち・アルバイトから10倍成長組織の幹部になるまでの学びと選択
飲食業界の店長からIT業界へ転身して約20年。未経験転職で20社全落ちし、アルバイトからスタートしたキャリアは、モバイルベンチャーでの現場経験、グロービス・大学院での学び、そして社員16名ほどの小規模企業への参画を経て、売上10倍超・100名規模のIT企業役員へと至りました。華やかな近道を選ばず、あえて遠回りをして自ら組織と実績を作り上げる「逆算キャリア戦略」の本質を記録します。
1. 原点:20社全落ちとアルバイトからの再起
大学時代、2000年前後のいわゆる「IT革命」が始まりインターネットに強い関心を抱いていました。しかし就職活動は思うように進まず、学生時代から続けていた飲食業界へ就職。20代は店長職まで務めました。
しかし「20代のうちに転身しなければ一生IT業界へは行けない」という強い危機感から28〜29歳で転職を決意。結果は20社受けて全落ちという厳しい洗礼でした。飲食でどれだけ懸命に働いていても、未経験の自分は市場から全く必要とされていない現実に打ちのめされました。
それでも諦めず、正社員ではなく未経験アルバイトとしてモバイル系ベンチャー企業へ潜り込みました。開発や運用の体系的な研修など皆無の混沌とした環境の中、MOSや初級シスアドの取得、プログラミングの実務経験を必死にかき集め、まずは正社員登用とIT基礎スキルの確立に集中しました。
2. モバイルベンチャー期:現場力からマネジメントへのシフトとグロービス受講
1社目で実績を作った後、31歳でより規模が大きく知名度のある2社目のモバイルベンチャーへ転職しました。数百人規模の組織で周囲は若いメンバーが多く、長年の実務経験を持つエンジニアも多数在籍していました。
ここで私が担ったのは、現場の実務力で競うことではなく、メンバーのメンタル面を支え、業務を円滑に回すマネジメントの役割でした。しかし、組織を動かす立場になるにつれ、「思考の深さ」や「経営判断の軸」において自らの能力不足を痛感することになります。
■ 30代前半で並行したリスキリング:
- グロービスでのビジネス基礎力強化:論理思考、マーケティング、経営戦略などのフレームワークを習得し、意思決定の解像度を向上。
- 基本情報技術者試験への挑戦:マネージャーとしてエンジニアと対等に議論できるよう、ITの上位基礎資格を取得。
3. 勝負のポジショニング:あえて16名の小規模企業を選んだ理由
約3年働いた後、次のキャリアを選択する際に重要な意思決定を行いました。当時いた数百人規模の大手では、すでに多くの役職者がおり自分の影響力・プレゼンスを発揮するには限界がありました。また、エンタメ中心のモバイル業界よりも、BtoBや教育・eラーニング領域に関わりたいという志向もありました。
そこで選んだのが、社員数わずか16〜18名程度の小規模なeラーニングシステム開発企業(現在の会社)でした。営業やビジネス側を統括できる人材が社長と部長しかおらず、大半がエンジニアとサポート担当という体制でした。
「すでにある椅子に座る」のではなく、「ビジネス組織そのものを自らの手で作り上げ、不可欠な存在になる」という逆算のポジション取りです。大手への転職に比べてリスクはありましたが、自らの手腕で会社の核になれる最大の好機でした。
4. 組織拡大と自己投資の連動:売上10倍と役員登用への軌跡
入社後、ビジネス側の組織構築と事業拡大を一手に推進。十数年の歳月を経て、会社は社員100名超、売上は当時の10倍以上に成長し、私自身も取締役に就任しました。
この急成長の過程においても、学習を止めることはありませんでした。組織のフェーズが変わるたびに自身の知識不足に直面したためです。
■ 組織成長に合わせて継続した追加投資:
- BBT大学院(MBA):企業価値の向上と事業戦略、組織マネジメントを体系化。
- 早稲田大学データサイエンス講座:データドリブンな意思決定手法とAI時代の技術理解を補完。
- 応用情報技術者試験・統計検定:IT・データ領域での実務的専門性を担保。
会社に足りない機能があれば、外部から調達するのを待つのではなく、自らが学んでその機能になりきる。この姿勢が社内での唯一無二のプレゼンスを生み出しました。
5. 総括:完成された大企業より、自ら組織を大きくするリスクを取れ
キャリアを考える際、多くの人は有名企業や上場企業といった完成された組織へ直接入ろうとします。しかし、出来上がった組織にはすでに優秀な人材がひしめいており、真のコアメンバーになるには何重もの壁があります。また、現在の大企業が15〜20年後も安泰である保証はありません。
特に30代のビジネスパーソンには、小さなスタートアップや成長途中の組織に飛び込み、自らの力で組織と売上を拡大させる挑戦をおすすめします。その過程で自分に足りないスキルがあれば、泥臭く学び続ければよいのです。
近道を探すのではなく、戦略的に遠回りをしながら実績と学びを積み上げる。リスクを取って組織の成長を牽引した経験こそが、40代・50代になった時に揺るぎない市場価値とポジションを保証してくれます。